第33回日本成人矯正歯科学会学術大会
2025/06/12

2025年6月12日に行われた第33回日本成人矯正歯科学会学術大会に参加してきました。
会場は日本橋兜町のKABUTO ONEというビルでした。
本大会のテーマは「今求められている矯正治療とは?治療の質向上を目指して」でした。
私自身、中高生の頃に矯正治療を受けさせてもらいましたが、その頃は今ほどマウスピースによる治療はメジャーなものではなく、ワイヤーによる矯正治療が主流な時代でした。
近年では、マウスピースによる治療が世間にも広く知れ渡るようになり、その中でもDPA(Direct Printed Aligner)なるものも登場し、続々と新しい技術やシステムが普及してきています。
患者さんが自分の考え方や性格に合わせて装置を選択できることは、治療の幅も広がり患者側、歯科医院側の双方にとってWin-Winの関係だと個人的に感じています。
テーマに戻りますが、自分なりに「今求められている」のは、「患者さん自身が理解し納得できるような治療」ではないかと考えました。
スマホやインターネット、最近ではChat GPTなどのAIもあり、それらのツールを使えば知りたいと思うほとんどの情報を集めることができる時代ですが、その情報の信憑性が確かなものかどうかは第三者が保証するしかないと思っています。
医院や先生によってそれぞれ治療の方針や考え方は違うかもしれません。ですが、私たちが現状を踏まえ説明をさせていただくことで、患者さんが「納得」と「理解」をするサポートをしていくことが重要ではないかと感じました。
矯正がテーマの学会への参加は、私は今回が初めてでしたが、ご登壇されている先生方の最新の知見や企業の新しい機材を直に拝聴体験することができ、とても有意義な時間を過ごすことができました。
~講演~
「矯正治療におけるゴール設定の重要性」と「大臼歯の近心移動の実現性」について学びました。
それぞれの装置の特性と歯牙に対してどのような力学的な現象が起こるかを常に確認することが必要だと再認識しました。
また、国内基調講演では「咬合機能に関わる顔面頭蓋のバイオメカニズム」と題して、口腔周囲の頭頸部の骨格構成や筋機能がどのような役割を担っているか、成長とともにどのような発達をしていくか、解剖学的な視点から臨床に結びつけていただきました。一卵性双生児での顎外固定装置の使用の有無による下顎骨成長の変化の比較はとても興味深かったです。
~企業展示~
3DプリンターやCADソフトを見学し、矯正治療のデジタル化の進展を改めて実感しました。
比較検討を行い、より良い機材の導入を進めていきたいと思います。
今回得た知見を今後の診療に活かし、より質の高い治療を目指していきます。
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歯科医師 滋野翔太